私が中在家信号所に興味を持ったのは、確か昭和５５年ころでした。今ほど鉄道情報が多くなかったので、信号所がどこにあるかと言うのはあまり知る機会が少なかったように思います。けれども、急行「志摩」の車窓からそこに信号所らしきものがあるのは知っていたし、「中在家信号所」の看板もあったのですが、ここが信号所かという程度のものでした。ところがある日、この信号所が大好きになる出来事が起こります。

そのきっかけは普通列車で奈良に向かう途中、その列車が突然スイッチバックを始めたから・・・。
スイッチバックの駅と言えば木次線の出雲坂根駅や奥羽本線の峠駅のように遠いところにあるものだと思っていたので、そのときの私は驚愕しました。

「こんな近くにスイッチバックの駅（信号所）があるなんて・・・」今なら小学生でも中在家信号所がスイッチバックであることを知っているけれども、当時私の知識はその程度のものでした。

列車が引き込み線に入り、スイッチバックして反対側線に入り列車は止まる。エンジンのアイドル音はするもののあたりはシ〜ンとしていたように思えました。はたして対向する通過列車は何なのか？私はカメラを構えて待っていた。すると「ポ〜ッ」と汽笛一声、なんと重連の貨物列車が轟音と共に通過して行くではありませんか。
初めてのスイッチバック信号所で重連貨物を待避する。これが好きにならないはずがありません。その後、何度か通っている内に貨物列車も廃止になり、永らく行く機会もなく年月が過ぎました。

再び訪れたのは、元号も平成に変わり国鉄も民営化されてＪＲになってからでした。重連貨物はなくなって
いましたが、キハ５８・６５がスイッチバックする姿は被写体としてはすばらしかったと思います。

今はキハ５８等もなく、信号所の建物も取り壊されましたが、いつまでも中在家信号所にはガンバッテもらいたいと思います。